2016年3月10日木曜日

最も簡単なN2レーザー

恐らく,世界で最も単純なN2レーザー(波長337 nm)の写真です.スパークギャップやサイラトロンなどの高速大電流スイッチを用いない軸方向放電励起N2レーザーです.宇野が大学院生の頃に作りました.
N2レーザー
左下のチューブが,レーザー管です.放電長は10cmです.写真のレーザー管はガスフロー方式ですが,封じ切り方式のレーザー管でも動作可能です.写真のレーザー管はきちんとしたものを使用していますが,ガラス管と銅パイプ,カバーガラスからなる超安価,100円くらいで遊びのレーザー管は作れます.
右中央のランプ(警告灯)がパルス電源です.ランプは中身を改造して,パルス電源として動作できるようにしています.
中央上が,トランスです.自動車のイグニッションコイルです.
中央下の巻いているケーブルは,同軸ケーブルで,200pFのコンデンサとして働きます.セラッミクコンデンサでも,もちろん大丈夫ですが,どこまでアホなことができるのかが一つのテーマでした.
レーザー管にN2ガスを適量いれ,ランプのアダプタをコンセントにさすと,N2レーザーが発振します.100μJ程度出力します.

学生の頃に最初に与えられたレーザーは,非常にゴチャゴチャしており,大きな容量のコンデンサが積んでありました.実験をしていくうちに,このコンデンサいらないよね,こんなに大きくなくてもいいよね,これもいらないよね,とどんどん単純化していきました.このようなことに気がついたのは,気が遠くなるような多数の実験項目を一つずつこなして,様々な特性をグラフ化したためでした.また,このように装置を大胆に改造できたのは,壊しても自分で修理できる技術があったからと思います.

この研究から得られた知見は,非常に大きなものでした.実験結果は,論文として公表していますが,それ以上の知見,ノウハウが得られました.
K. Uno, et al., Longitudinally excited N2 laser without high-voltage switches”, Rev. Sci. Instrum. 79, 063107 (2008).

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