2016年3月6日日曜日

最初の軸方向放電励起気体レーザー

軸方向放電励起気体レーザーは,レーザー研究の初期,1960年代にはあるのですが,気体レーザーの原理や放電の原理を考慮した上で,再び注目したのが,大阪大学レーザーエネルギー学研究センター(当時はレーザー核融合研究センターでした)の實野先生です.

我々の最初の軸方向放電励起気体レーザーは,實野先生が作られたN2レーザー(波長337 nm)です.1990年代後半と思います.
最初の軸方向放電励起N2レーザー
写真のレーザー管は廃材から作られたそうです.共振器にミラーは使用しておらず,顕微鏡のカバーガラスで共振器を構成しています.これに駆動回路と高電圧電源,ガス配管などが接続されます.

ここから研究が進み,2002年に,低ガス圧のF2レーザー(波長157 nm)が開発されました.従来,数気圧必要なF2レーザーを,全圧40 Torr(大気圧の約1/20の圧力)で発振させました.
低ガス圧のF2レーザー
写真は,宇野が大学院生時代に触っていたF2レーザーです.当時も,廃材などをふんだんに使用していました.重要な部分は,クリーンにしています.これで真空紫外光がレーザー発振します.
いろいろな原因があり,最初に与えられたレーザーは全く発振しませんでした.その原因を探るのが最初の課題でした.最初は,当然素人でしたので,何も分かりませんでした.何をしたらよいのかさえも.毎日,何時間も装置を触り,ひとつひとつ調べ,格闘する日々でした.それを何ヶ月も続けると,放電の色や音で,放電の状態,装置の状況がわかるようになります.レーザー光が出力したときは,うれしかったです.

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